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- 166 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:29:35 ID:HOE/rTNd0
- 1/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| さて、前回に引き続きコンピュータの授業です。
| 本日の話題はコンピュータの世界への広がりと、利用技術の進歩について。
| コンピュータがだんだん有効性のある文明の利器だと捉えはじめた人類に、
| 大きな出来事が起こります。
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コンピュータの歴史 その2
「エニグマとチューリング 〜地中海(&大西洋)のいたちごっこ〜」
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(| つ ∇ (゚Д゚,,) (゚∀゚,,)
| | ┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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| 大きな出来事・・・というと二度の大戦か。
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| ついにこの時代にきたか。軍靴の音が聞こえるアヒャ
| 諸君、私は戦争が好きだ。諸君、私は戦争が(ry
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- 167 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:30:45 ID:HOE/rTNd0
- 2/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| と、性急に戦争の時代に入らず。
| 一応今回、暗号とかを軸にした講義の予定なんで、
| まずは暗号という情報技術についてをお勉強しましょう。
| 下地を整えた後の方が何かと解説もしやすいですしね。。
| せっかく御意見頂いたことですし、じっくりいきましょう。
| 私自身の勉強にもなることですし、頑張りますよ。
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コンピュータの歴史 その2
「エニグマとチューリング 〜地中海(&大西洋)のいたちごっこ〜」
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| | ┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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| おお、まずは暗号って物がどんなものか、そこから入るのだな。
| まあ、公言した以上ちゃんと深い講義を目指していかないとな。
| ちょっとの努力で結ばれる実もいくらでもあるはずさ。
| ・・・って後ろギコ。まあモチツケ
\____ ∧
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| う、うおお、軍靴の音が、軍靴の音が遠ざかる!
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- 168 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:31:43 ID:HOE/rTNd0
- 3/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 一口に暗号といっても様々なものがあります。
| まず、人はどうして暗号を使うようになったのでしょうか?
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まず、暗号って何さ?
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| | ┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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| まあ、とりあえず暗号って、人に知られたくないから使うんだろ?
| 何かの合図だったり敵味方確認だったり伝えたい秘密を安全に送ったり。
\____ ∧
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| さらに、そこに戦争や権力、政治や金が絡むと人間はすごそうだしな。
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- 169 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:32:41 ID:HOE/rTNd0
- 4/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 回答ありがとうございます。
| そう、暗号といっても様々な種類があるのは、その用途によって
| 適した暗号の形が異なるからですね。
| 文章を隠して送りたいなら、元の文章(平文「ひらぶん」といいます)
| を別の文字に変換し、伝わった先で元に戻せる暗号が。
| 敵味方の区別をつけたいなら合言葉などがいい例でしょう。(「山」「川」など)
| 符丁、ともいいますね。
| 何かの合図をおくるなら、有名な「ニイタカヤマノボレ」や、野球のサイン、
| 古くは狼煙(のろし)など、特定の規則にしたがって自他間で意思疎通可能な
| 方法を実行するのが効果的でしょうね。ジェスチャーも広く考えると含まれるかも
| しれません。
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戦力でも場面に適した用兵があるように、
暗号も用途に適した暗号技術がある。
・文字そのものの暗号化
・敵味方区別としての暗号(符丁)
・合図としての暗号
など。
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| けど、漠然とくくっても本質が見えないな。具体的な暗号の解説とか頼む。
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 技術的な差はともかく、暗号が用途によって使い分けられるってことか。
| で、暗号ってよばれるものの要点を説明すると。
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- 170 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:33:17 ID:HOE/rTNd0
- 5/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| では、例として有名どころに焦点を当ててみましょう。
| ここではシーザー暗号について講義し、その後で
| 実際のエニグマのお話に入っていきます。
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・文字そのものの暗号化
シーザー暗号
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| なるほど、文字そのものの暗号化について例を挙げるってか。
| そういやエニグマも文字そのものの暗号化の部類に入るんだよな。
\____ ∧
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| シーザー暗号?ああ、文字ずらして文を送るあれか。
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- 171 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:33:50 ID:HOE/rTNd0
- 6/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ではシーザー暗号について。
| かの有名なシーザーは、秘密文書に暗号をかけたという
| 話があります。それは文字を意図的に3文字ずらして、
| 平文を暗号化するというものだったようです。
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・シーザー暗号概略
古代ローマの軍事的指導者カエサル
(英語読みでシーザー)が初めて使ったことから、
この名称がついた。
カエサルは秘密を必要とする場合、原文の“a”を“d”、
“b”を“e”と読み替える、というように各文字を
3文字後へシフトして暗号を作成したといわれる。
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| なるほど、文字をずらせば文章が意味不明だし、解読側が
| 何文字ずらされたか知ってれば元に戻せると。
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| このころから、情報戦は始まってたんだな。
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- 172 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:34:21 ID:HOE/rTNd0
- 7/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| では、要点です。
| このシーザー暗号、やたら昔のものでありながら
| 暗号の要点である規則(アルゴリズム)および鍵(キー)を
| 備えているという点に注目なのですよ。
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・規則(アルゴリズム)
暗号化する手順のことを言う。
シーザー暗号なら「n文字のシフト」という
アルゴリズムを持っていることになる、
このアルゴリズムを用いた暗号を
シーザー暗号、またはシフト暗号という。
・鍵(キー)
暗号を解く鍵になる情報を示す。
シーザー暗号なら「シフト数」がキーになる。
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| アルゴリズム、というのは平文を暗号化するための仕組みで・・・
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| キーって言うのは、そのアルゴリズムで暗号化するときの情報で、
| そしてそれがそのまま暗号を紐解く鍵になるってことか。
\____________________
- 173 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:34:54 ID:HOE/rTNd0
- 8/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 基本的に暗号というものは、この要点を持つことがだいたい共通してます。
| あとはアルゴリズムの違いと、それに伴ったキーの変化なんですよ。
| 現代はコンピュータの発達によって、より複雑なアルゴリズムが
| 用いられていますね。現代のRSAやDESなどがいい例です。
| 機会があれば詳しくやりたいですが、とりあえず主論はコンピュータの歴史なので
| 今回はこの程度にとどめます。
| まあ、文字や画像情報の暗号化には多彩な手法があると認識しておいてください。
\__ _____________________
━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・規則(アルゴリズム)の例
一般形式・サイファ(鍵)形式
換字式(簡単なものとしてはシーザー暗号)
転置式(簡単なものとしては逆さ言葉等)
分置式(「た」抜き言葉)
混合形式(DES等)
共有鍵暗号
RC4
公開鍵暗号
RSA暗号
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| 暗号のアルゴリズムって多彩なんだな・・・重要度によって
| 複雑化していくってことでもあるな。
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 軍事目的だけでなく、純粋な科学技術や商用目的だって
| 機密扱いのものは管理が凄まじいぞ。
| まあ、権威・利権や金が絡むと人は用心深くなるってことさ。
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- 174 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:35:35 ID:HOE/rTNd0
- 9/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| さて。まずは基礎知識を通してみました。
| ここまでで質問とか何かありますか?
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・規則(アルゴリズム)の例
一般形式・サイファ(鍵)形式
換字式(簡単なものとしてはシーザー暗号)
転置式(簡単なものとしては逆さ言葉等)
分置式(「た」抜き言葉)
混合形式(DES等)
共有鍵暗号
RC4
公開鍵暗号
RSA暗号
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| | ┌─┐ /⊂ ヽ /⊂ ヽ
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| うーん、俺は特にないかな。要点さえしっかりしてればいいんだろ?
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| あ、教授。日本にもエニグマ見たく暗号ってあったのか?
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- 175 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:36:18 ID:HOE/rTNd0
- 10/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ええ、日本にもありましたよ。初期のエニグマを
| 改良・改造した「紫暗号」などが有名ですね。
| 基本的には本論のエニグマと同じ機械化暗号機って感じです。
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・機械化暗号機
ドイツのエニグマ、日本の紫暗号など、
タイプライターに暗号機構を備えたもの。
タイプするとその仕組みにしたがって
別の文字が出力されてくる。
特徴は鍵(暗号表の周期)によって何通りも違う
暗号文になること。
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| ほうほう。タイプライターwith暗号アルゴリズムってことか。
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| じゃ、いよいよエニグマとチューリングなのか?
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- 176 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:36:51 ID:HOE/rTNd0
- 11/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そうですね。それじゃあいよいよ、きな臭い時代に
| 突入しましょうか。エニグマの発祥・発達は主に第一次大戦直後からですね。
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1919 ドイツ、暗号機エニグマを開発。
元は商用の機械化暗号機を、その後ヒトラーが
目をつけて軍事転用することとなる(1933年)。
暗号表によってその暗号化のバリエーションが
10京通りにもなるすぐれもの。
ちなみにエニグマとは「謎」と言う意味である。
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| とうとうきたか・・・しかし10京通りとはまたすごいな。
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| さあ!堰を切れ!戦争の濁流の堰を切れ!諸君!アヒャ
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- 177 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:37:27 ID:HOE/rTNd0
- 12/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ではここで、エニグマ暗号機について説明しましょう。
| 先ほども述べたとおり、エニグマ暗号機は機械化暗号機。
| その仕組みは以下のようになっています。
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エニグマ暗号機のパーツとその動作
・文字を入力する 「キーボード」
キーボードのキーを押すと、スクランブラーの
右端のローターに電流がながれる。
・3つのローターとリフレクタからなる 「スクランブラー」
ローターは26個の接点を持っている。 反対側の面にも、
隣のローターに接触するための 26個の端子がある。
この26組の電極は、ローターの内部でそれぞれランダムに
接続されている。
しかもエニグマは、キーを押すたびに右端のローターが1ステップ回転する。
右端のローターが1回転すると中央のローターが1ステップ回転する。
中央のローターが1回転すると左端のローターが1ステップ回転する。
このため1文字毎に暗号化キーが変わることになる。
・暗号化された文字がランプで表示される 「ランプボード」
キーボード入力をうけ、暗号化された文字を光らせる。
・任意の文字の配線を入れ替えることができる「プラグボード」
これを操作することによって、1文字ごとに配線を入れ替えてカスタマイズもできる。
[入力時の文字変化とローター回転の動作例]
[キーボード] ローター1 ローター2 ローター3 リフレクター
出発"A" ---> "D"(回転)--->"R"(回転)--->"T"(回転)---+
| C
[ランプボード] |
到着"U" <--- "U"(回転)<---"Y"(回転)<---"E"(回転)<--+
-------------------[スクランブラー]-------------------
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| き・・・気が狂いそうだ・・・26個の接点が毎回ランダムなんだろ?
| 平文にするための鍵がいくつ存在するんだ!?
| シーザー暗号で言えば、毎回シフト数が変わるようなものじゃないか!
\____ ∧
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| 結局、ローターを通って電流が文字ランプに到達するまでに
| 何度も別の文字に変えられて、最終的に違う文字が光るってことだな。
| キーボード→ローター1→ローター2→ローター3→
| リフレクター→ローター3→ローター2→ローター1→ランプボード の順だ。
| いうなればこの動作がアルゴリズム、そして注目すべきは
| ローターが回転するたびに鍵がかわってるということなんだな。
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- 178 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:39:14 ID:HOE/rTNd0
- 13/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そしてこの組み合わせのポテンシャル。
| ドイツはエニグマ暗号に絶対の自信を持っていました。
| 決して破られるはずがない、と。
\__ _____________________
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平文にするための最終的な換字表組み合わせの数は10京通り。
換字表とは、ABC・・・が暗号化されたときどのアルファベットに
なるかというもの。
[換字表の例]
A B C D E F G H …
@ E D G X P C H R …
A Z F R C H O J B …
B M Q A W H K C I …
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| ・・・文字の鍵じゃなくて換字表が10京・・・(ポカーン)
| ローターの設置によってそれぞれの換字表があるってことだから・・・
| ひょっとしなくても、この@、A・・・が表になってて、
| その表の数が10京・・・
\____ ∧
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| ・・・・・・そりゃ自信作だろうな。
| しかもローターの組み合わせがあってれば、
| 暗号はきっかり元に戻るんだ。
| 復号もお手軽。
| ちなみにローターが回転して鍵が変わるから、
| うえの表でBBBと打つとDFQと暗号化される。
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- 179 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:39:46 ID:HOE/rTNd0
- 14/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そして、一人の男・・・アラン・チューリングの仕事も、始まろうとしています。
| 情報戦ってほんとに凄まじいものですね。私も調査して驚きました。
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チューリングに限らず、暗号解読、管理計算、
情報戦をいかに勝ち抜くか、そういったことが
計算機、コンピュータに委ねられ始めた時代でもある。
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| 情報が計算機、コンピュータに・・・
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| 情報化社会・・・か・・・。
| 普段何気なく言ってる言葉の重み、よく考えるべきだな。
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- 180 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:40:16 ID:HOE/rTNd0
- 15/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| では・・・ポーランド、1939年9月1日。
| ポーランド軍の拠点に急降下爆撃を加えるユンカースJu87・・・
| 侵攻するドイツ軍機甲師団。
| その爆撃音を遠くに聞きながら、諜報員か技術者か、
| あるイギリス人が懸命に走ります。
| 彼の脇に抱えたボストンバック。
| その中にあるもの・・・それがエニグマ暗号機の複製機。
| 彼はひた走る・・・彼の目的地、イギリスへ。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
同時期、ロンドン。
ドイツによるポーランド侵攻の号外。
我先に号外を手に取る人々のざわめき・・・。
その中にいるアラン・チューリング、当年27歳。
無精ひげ、だらしない服装、そして童顔。
それが彼の風体であった。
喧噪の中、彼は落ちている号外を拾い上げる。
そこに軍人が一人、近づいてくる・・・
軍人「チューリング博士ですね?」
―1939年9月1日、ドイツがポーランドに侵攻。
ポーランドと同盟関係にあったイギリス・フランスがドイツに宣戦布告。
第二次世界大戦の勃発、世界が国をあげての総力戦へと突入していく―
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| なるほど、イギリスの諜報員だか技術者だかが複製を持ち帰ったんだな。
| まあ、板書の文章は脚色入れているが、
| イギリスの情報機関がチューリングを選んだのは確かだ。
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| で、エニグマを解読するために膨大な知力が費やされることになるんだ。
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- 181 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:40:49 ID:HOE/rTNd0
- 16/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そして大戦当初〜1942年あたりまで、主に大西洋や地中海で
| 暴れまわったのがUボート。
| まあ、第一次大戦でもUボートは暴れてましたけどね。
| 連合国のUボートによる被害はすさまじく、日本が第二次大戦で
| 失った輸送船の総トン数の倍近く。
| まあ1943年以降はUボートの方が逆に沈められていくのですが。
| そしてUボートの通信手段は、エニグマ暗号でした。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Uボート戦果(1942年まで)
1940年9月 15万4000トン
1940年の末までに総計114隻、42万トン
1941年6月 28万4000トン以後月間平均25万トン以上
1942年10月 商船32隻、15万6000トン
1943年以降、Uボートの方が狩られる立場に。
それに伴い連合軍の被害も減少していく。
最終的なUボート総戦果は商船2828隻、1500万トンに上る。
うち1100万トンが英国。400万トンがアメリカ。
ちなみに第二次大戦を通した日本の輸送船被害は2600隻、843万トン。
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| うわ・・・Uボートって日本の撃沈された輸送船の倍のトン数を・・・
| けど隻数では似たようなものなんだな。まあ、とんでもない被害に変わりはないか。
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| なんせ潜水艦は日本やイギリスみたいな海洋国家には
| とても恐ろしいものだ。資源が入ってこないから
| 文字通り破産しちまう。
| 結局イギリスもシーレーン防衛をアメリカに頼ってた
| 部分もあるわけだしな。
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- 182 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:41:40 ID:HOE/rTNd0
- 17/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 更に有名な「バトル・オブ・ブリテン」。
| 英国本土航空戦により、暗号の解読と敵軍事計画の
| 察知が急務となっていきます。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1940年6月、フランス降伏。開戦1年足らずで
ヨーロッパ全域をほぼ制圧したヒトラーは、
その圧倒的勢力を背景にイギリスに和平を勧告。
だがイギリスはこれを拒否、ナチスドイツは
イギリス本土に空爆を開始する。
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| なるほど・・・エニグマ暗号を紐解いて、何とかナチスドイツの
| 動向を知りたかったわけか。
| ・・・で、チューリングの出番と。
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| この時代、どこも情報戦は必死だった。
| こと連合国では、重要情報を他国に先駆けて手に入れられれば、
| 連合国中の地位すら左右する。(例:ノルマンディー上陸作戦)
| この時代の情報戦は、100年先のグランドデザインを左右する、
| 国家の命運をかけたものだったということさ。
\____________________
- 183 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:42:16 ID:HOE/rTNd0
- 18/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 前ギコ君の言うとおり、暗号解読に期待が寄せられます。
| チューリングは暗号と平文とのかかわりを重視し、
| 攻略法を練ります。
| そしてチューリングが考えた対処法・・・
| それこそ、目には目を、機械には機械を。
| ・・・チューリング・ボンベの誕生です。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
チューリング・ボンベ
並列に一文字分ずれたロータを100個ほど横に並べて結線する。
またボンベ自体を100台程度設置して並列に運転する。
つまり、100*100=10の4乗通りの鍵を同時に探査し、
並列解読をしてしまおうというもの。
基本的にボンベは、エニグマの動作をシミュレーション(模擬実験)
する装置である。原文と暗号文を入力し、それが一致するまで
ローターの組み合わせを自動的に変えていく。
まさに、自動解析マシン・・・
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| エニグマのシュミレーション&解析装置だったわけか。
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| 並行していくつかのローターの組み合わせを同時探査することで、
| 時間的効率を図ったわけだな。
| 一挙に10通りずつしたら、10分の1ですむってかんじで。
| まあ、それが10000通り同時進行と言うことか。
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- 184 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:42:49 ID:HOE/rTNd0
- 19/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ここで前の講義をちょっと思い出してください。
| バベージのこと、覚えてますか?
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バベージの理想は100年早すぎたといわれている。
そして、バベージの時代から100年・・・
そう、電気信号の出番です。
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| 電気信号・・・蒸気機関ではなく、とうとうここまで来たんだな。
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| ようやくデジタルの基礎が出来てきたわけだ。
| そしてチューリングボンベに利用されたものは・・・
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- 185 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:43:30 ID:HOE/rTNd0
- 20/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| はい。電気信号を用いた機構・・・
| 「リレー」の登場です。
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そこで使われた演算素子はリレーであった。
バベージの機関から百年、電気の導入により、計算機械は
飛躍的な発展を遂げていくことになる。
[リレーとは・・・]
リレーとは継電器のことで、電磁石の動作によって
いくつかのスイッチ接点を開閉させるもの。
スイッチの開閉により1と0を表現。
ちなみに世界最初のリレー計算機は MARK-T(アメリカ、1944年)。
要約すると、歯車式計算機の歯車がスイッチに変わったものだ。
3,000個のリレーを使ったその計算機を、
アメリカは国勢調査に利用した。
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| まだアナログな感覚もあるが、とうとう・・・
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 電気・電子機器の発達は結局、戦争や国力とともにあった。
| MARK-Tも1944年だ。そして、米国だ。
| チューリング・ボンベはあくまで暗号解読機だから、
| 「汎用計算機」と呼ぶには若干の難があるな。
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- 186 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:44:09 ID:HOE/rTNd0
- 21/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そんな開発をよそに・・・1940年9月7日 ロンドン大空襲。
| 爆弾を投下するドイツ爆撃機。爆発炎上し、崩れ落ちる建物。
| 地下鉄構内に避難している市民たち・・・。
| そういう状況の中、さすがに色々な説が出ているようですね。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
暗号解読後、コベントリー空襲を暗号解読班がキャッチ
したが、暗号解読の成功をナチスに知られないために
あえてチャーチルがコベントリーを見殺しにしたという説まである。
どうやら噂の一人歩きらしいのだが、そのような噂は
それだけ情報戦が重要だということの証でもあるだろう。
暗号解読ひとつでここまでの説が出るとは・・・。
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| うわ・・・見殺しって、キャッチしたのにほっといたってことか?
| まあそれだけ噂の種となる重要事項だったって言うのがほんとのとこだろうな。
| 仮にも自由民主主義陣営を提唱するのであれば、国民の厭戦感、世論が
| とても痛い圧力になることは明らかだ。
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 空襲って聞くと日本人は日本本土爆撃をイメージするが、何のことはない。
| 枢軸国側だってやってたことなんだな。
| しかし情報戦は熾烈を極めるなぁ・・・そもそも暗号解読自体が既に
| ひとつの伝説だったって感じだな。
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- 187 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:44:45 ID:HOE/rTNd0
- 22/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| それだけ需要があり、重要だからこそ、正確な機械・・・
| 「計算機」に、情報が託されたのかも知れませんね。
| ・・・そしてチューリング・ボンベの技術は、アメリカに
| 渡ることになります。まあ、戦争であり同盟国であるから
| ってことでしょうね。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
極秘の技術を渡すという行為だけに、
シーレーン防衛の見返りと言うこともできるし、
一概に同盟国だからというだけではなく
その後の情報戦も見据えての2国間の
国家戦略が火花を散らしているとも言える。
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| 情報戦に負けられない・・・か。
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| 情報戦ってのもそうだが、技術も関係してる。
| いかに相手の技術を追い抜き、自国の力とするか。
| この時代は技術競争が戦争によって苛烈になったことで、
| 皮肉にも革新的なものが生み出されてくるわけだな。
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- 188 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:45:25 ID:HOE/rTNd0
- 23/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| さて、チューリングが米国に渡ってしばらくして。
| ドイツは最重要事項をエニグマ暗号から、改良型の
| ローレンツSZ40という暗号機に変換します。
| このローレンツ、バケモンです。マジで。
| 構造はエニグマと根本はほぼ一緒なんですが・・・
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
エニグマの改良型であるローレンツSZ40の
換字表組み合わせは最大で1600京通り。
なんと暗号周期はエニグマの一千兆倍。
ちなみにローターの数は12個・・・。
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| ・・・1600京・・・アヒャ・・・
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そう、この量はとてもリレーの速度じゃおっつかない。
| 解析時間が恐ろしいことになり、チューリング・ボンベでは
| ・・・リレーを使った計算機では・・・
| とてもドイツの作戦発動以前に暗号を解読できない物量なんだ。
| キーの数が多いほどやっかいということでもあるな。
| よく笑い話で、牢屋の鍵を束から探すけど見つからなくて
| 脱獄時間切れ、みたいなのがあるがそれに似てるな。
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- 189 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:45:59 ID:HOE/rTNd0
- 24/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| そして・・・歴史はまた彼を欲します。そう、チューリングの出番です。
| 彼はアメリカであるものに目をつけ、それを新たな解読計算機に
| 使おうとしました。・・・そう、真空管です。
| リレーがスイッチ開閉という物理的動作を行うのに対し、
| 真空管が電子情報という無形のもので運用されるので
| 速度効率が飛躍的に進歩する点にチューリングは目を向けていたのです。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
米国の弾道計算機ENIACで初めて真空管が使われて
いたわけではなく、先駆けてイギリスが使っている。
規模的にみても真空管を利用した計算機としては初のものだろう。
真空管1000〜2000という数値はENIAC前の当時としては画期的。
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| あ、あれ?真空管?もっと後じゃなかったか?
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| 厳密には解析計算であって、コンピュータっていう
| レベルまで到達しているとは言いがたいんだが・・・
| まあ、真空管は画期的な速度を提供する。
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- 190 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:46:40 ID:HOE/rTNd0
- 25/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 真空管はなんとリレーの1000倍の計算速度を誇り、
| ついにローレンツSZ40を解読することに成功します。
| 真空管解析機・・・「コロッサス」の登場です。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
米国のエッカートとモークリーによる「ENIAC」よりも2年早い、
電子計算機の登場。
これにより暗号解析がより進み、ドイツの動きが手に取るように・・・。
ちなみにこのコロッサスを、実質的な「チューリング・マシン」と
呼ぶことが多いようだ。
そしてイギリスのこの暗号解析情報は、大戦中「ウルトラ情報」と名づけられ、
名前負けせずにそう呼ばれていた。
この情報はノルマンディーなどの大きな作戦にも大きく関与している。
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| そうか・・・そうして得た情報がノルマンディー作戦の上陸地点とか、
| そういう重要情報を決定するのに役立ったんだな。
| ドイツの上陸予想地点が確かパ・ド・カレーだと見破ったんだったか?
| だからノルマンディーにしたとか・・・
| 中の人がこの辺あまり詳しくないからなぁ・・・無理に言い切るのもまずいな。
| 講義全般に関して言えるが、戦争やら国際情勢の知識、中の人が勉強不足で申し訳ない。
| 付け焼刃で時間をかけて調べても詳しい方々には及ばないものだな・・・
\____ ∧
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ともあれ連合軍は西部戦線を決定付ける。
| 情報戦、そして大戦は連合軍に軍配が上がったんだ。
| チューリング・マシンやコンピュータの定義は、
| この時代がもっとも混沌としてるかもしれん。
| アメリカとイギリスで乱立した時代ともいえるな。
| そして、主役がイギリスからアメリカへ転換する
| 時期でもあるんだ。
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- 191 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:48:16 ID:HOE/rTNd0
- 26/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 歴史に関してはしょり気味ですみませんが、こうして長かった大戦が終結します。
| そしてその後、アメリカではENIACを発表、技術力を顕示。
| 対してイギリスはコロッサスの情報を30年間秘匿。
| 結局、表舞台ではENIACなんですね。
| ENIACについては、次回、戦後編で詳しくやりましょう。
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━━━∨━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
世に出ない技術の中には、バベージのときのように
技術が追い付いていない場合もあるが、
政治的に世に出されない技術と言うものもある。
技術者としては不本意だろうが・・・
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| イギリスも島国だからな・・・政治的な力量が問われる国家体形ということか。
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 技術だって、政治や国際情勢と無縁ではいられない。そして
| その国家ごとの国家戦略によって、どう技術を扱うかが分かれるんだ。
| アメリカなんかの国土も広い大国は、誇示して力を示すこともあるが・・・
| 国土がせまいほど、そういった無形財産には気を遣わなきゃ
| いけないってことでもある。もちろん日本もな。
| 技術力だって、国力のひとつなのさ。
\____________________
- 192 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:48:54 ID:HOE/rTNd0
- 27/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| 後ろギコ君の言うとおり、技術だって人間社会のひとつの知恵。
| 様々な民間のしがらみや国際情勢、政治と無縁ではいられないのです。
| MD防衛なんかもいい例ではないでしょうか。
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世に出ない技術の中には、バベージのときのように
技術が追い付いていない場合もあるが、
政治的に世に出されない技術と言うものもある。
技術者としては不本意だろうが・・・
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| だからこそ、世に示すための迎撃実験の成果なども重要なんだな。
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/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| だから実験の失敗ってのはすごく手痛いんだ。
| 完全ではないことを知らしめてしまうからなぁ・・・
| だから開発の方向性が決まったら必死で成功にこぎつけようとする。
| それが国であっても、民間であってもさ。
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- 193 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:49:42 ID:HOE/rTNd0
- 28/28
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| それでは、これで戦中編、エニグマとチューリングの授業を終了します。
| 次は戦後編ですね。
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コンピュータの歴史 その2
「エニグマとチューリング 〜地中海(&大西洋)のいたちごっこ〜」
〜完〜
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(| つ ∇ (゚Д゚,,) (゚Д゚,,)
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| とうとうENIAC,そして・・・
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| 悪魔の頭脳の登場か・・・
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- 194 :( ´∀`)さん :2006/01/12(木)
22:53:31 ID:HOE/rTNd0
- コンピュータ講義のものです。
続編のエニグマとチューリングを書かせていただきました。
情報収集と解析・講義能力にまだまだ難もありますが、
お目汚し下されば幸いです。
調査中に、改めて情報という生き物は難しいものだと痛感しました。
次回はまたこれを踏み台に、更なるレベルアップをはかりたいものです。
次回はとうとう、フォン・ノイマン、そしてノイマン型コンピュータの
登場です。
- 195 :( ´∀`)さん :2006/01/13(金)
00:20:02 ID:z3JiRlLX0
- >>194
大変面白く読ませていただきました。
一点だけ質問です。
コロッサスの開発にはチューリングは関与せず、キングスカレッジ時代にチューリングを
指導したマックス=ニューマンがプロジェクトマネージャとなった。という話を読んだ
事があるのですが、実際のところどうなんでしょう。
ちなみに上記の話を読んだのは、星野力氏の『蘇るチューリング』という本です。
- 196 :( ´∀`)さん :2006/01/13(金)
00:27:07 ID:QO0FFdjW0
- コンピュータ講義のものです。
調べたところ、コロッサスの作成に関してはニューマンが陣頭指揮を
とっていたことでどうやら間違いないようですね。
ちなみに開発実働部隊は郵政省の研究所のフラワーズらのようです。
チューリングは英米首脳間秘話装置担当で忙しかったらしいですな。
- 197 :( ´∀`)さん :2006/01/13(金)
01:38:17 ID:tNyjGNrO0
- ん? 結局どの情報が正しいの?
時間をかけてでもまとめて、何度も推敲して、
講義という形で出してくれると嬉しい。
- 198 :( ´∀`)さん :2006/01/13(金)
01:43:00 ID:QO0FFdjW0
- コンピュータ講義のものです。
コロッサスに関しては、
- チューリングが提唱し
- ニューマンが陣頭指揮を執り
- フラワーズらが開発実働部隊だった
という構成です。
どうも走りすぎる傾向があるようですね。
次回もコロッサスやチューリングも関わるので、
その辺で詳しく述べることにします。失礼しました。
- 199 :( ´∀`)さん :2006/01/13(金)
03:02:17 ID:tNyjGNrO0
- ワクテカで待ってます。
- 200 :( ´∀`)さん :2006/01/13(金)
12:08:42 ID:D7eWQs+w0
- >>198
以前に走り過ぎと文句を言ったものだが。
だいぶ良くなった。かなり面白かったよ。やはり思っていた通りだ。
しかし、自信お気づきのようだがまだ走り過ぎ。
面白いネタはじっくり掘り下げ噛み砕き展開させるものじゃないかい?
今回の話も3回ぐらいに振り分けても良いくらいのネタでは?
あなたはさらに面白い講義をするだけの能力がある人だと思うので不満な点を言わせてもらうが、
「コンピュータの歴史をざっと振り返りつつ近代のコンピュータについて語りたい」という最初の発想に捕われ過ぎではないか。
面白いネタを見つけたらそれを掘り下げ倒したほうが面白いものだと思う。
それと、コマを進めるということは話の接続ポイントなんだ。一コマの中に詰め込みすぎるのはその辺の認識をあまり強く持ってないからでは?
まあ、戦争と暗号については兵器の人がまた講義するだろうけれど、どうせならmaximumに面白い方が良いやね。
いずれにせよ今後の更なる進化を期待する。教授陣の質が兵器の人登場以降凄まじく高まっている(そういう意味じゃホントに兵器の人は天之御中主神w)ので、みんなの要求も厳しくなるぞ。
頑張れ!
___ _______________
v
Λ,,Λ
ミ,,゚Д゚彡 夏以降の講義読むだけでもハンパじゃない教養が手に入る神スレだここ。教授陣に感謝!
- 201 ( ´∀`)さん :2006/01/13(金)
17:31:18 ID:T7pJfV610
- 日本神話、コンピュータともになかなか良質でよかった。
では、俺からお土産を1つ。
http://www.infonet.co.jp/ueyama/ip/history/enigma.html
エニグマのシミュレーター。
やってみればわかるけど、俺らには一生かかっても解読できないw
- 202 :( ´∀`)さん :2006/01/13(金)
17:43:07 ID:QO0FFdjW0
- コンピュータ講義のものです。
苦言を有難うございます。更なる精進を目指して頑張りますよ。
次は戦後編だからといって一気に事を進めずに、
時間はかかるでしょうがせっかくのネタを生かしきれるように
内容を吟味してみます。(自分なりの講義構成というか、シラバスを
作って落ち着いて講義範囲を選んでみるとかも面白そう)
仕事が忙しくなりそうな気配もあり、多少間が開くかも知れませんが、
調査も講義構成も己の知識も、最後まで詰めたその先にあるものを
みんなで楽しめるような講義を目指して、いざ再出撃です。
- 203 :( ´∀`)さん :2006/01/13(金)
17:43:54 ID:ybOl3P7+0
- >>201
非常に良く判るが非常にワカンナイorz
湾岸戦争史補講完成しました。18:00辺りからUPするので
可能ならば支援スレ
http://aa5.2ch.net/test/read.cgi/mona/1134312074/
で支援願います…
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